OUI Inc.
OUI Inc.は、アジア・アフリカの失明人口を削減し、Universal Health Coverage(UHC)に貢献するため、スマートフォンアタッチメント型眼科医療機器Smart Eye Camera(SEC)を活用し、2025年までに以下の活動を行います。
・医療過疎地域100地点・10,000名の患者に眼科医療を提供
・現地眼科医による医療過疎地域への遠隔診療モデルを構築
・対象地域の眼科疾患情報を収集し、疫学の研究論文を投稿
・1,000名の現地医師・医療スタッフに対する眼科診察トレーニング
2020年10月
株式会社OUI (OUI Inc.)
解決を目指す課題 | 白内障をはじめとする眼科疾患 |
製品、技術、サービス | スマートフォンアタッチメント型眼科医療機器Smart Eye Camera(SEC) |
アプローチ | 製品普及、サービス開発、調査研究、教育 |
対象国、地域 | アジア(ベトナム・インド他)、アフリカ(特に東部アフリカ) |
達成目標年 | 2025年 |
事業規模 | 初年度、パイロットプロジェクトを500-1000万円程度の規模で実施。その後の事業は、パイロットプロジェクトの結果と現地の状況に基づいて設定。 |
パートナー | 現地医療機関、NGO、国際機関、製薬会社 |
SDGs該当ターゲット |
3.3 2030年までに、エイズ、結核、マラリア及び顧みられない熱帯病といった伝染病を根絶するとともに肝炎、水系感染症及びその他の感染症に対処する。 3.8 すべての人々に対する財政保障、質の高い基礎的なヘルスケア・サービスへのアクセス、および安全で効果的、かつ質が高く安価な必須医薬品とワクチンのアクセス提供を含む、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)を達成する。 3.c 開発途上国、特に後発開発途上国および小島嶼開発途上国において保健財政、および保健従事者の採用、能力開発・訓練、および定着を大幅に拡大させる。 3.d すべての国々、特に開発途上国の国家・世界規模な健康リスクの早期警告、リスク緩和およびリスク管理のための能力を強化する。
17.16 持続可能な開発のためのグローバル・パートナーシップのマルチステークホルダー・パートナーシップによる補完を促進し、それによるナレッジ、専門知識、技術、および資金源の動員・共有を通じて、すべての国々、特に開発途上国の持続可能な開発目標の達成を支援する。 |
背景
世界の失明人口は現在3,600万人、30年後の2050年には1億2,000万人に増加すると言われています。その多くが、医療アクセスが困難な途上国の貧困地域にいると考えられており、世界保健機構(WHO)は、失明の予防・促進を、UHCを達成するうえでの核心的な課題の一つに位置づけています。
一方で、失明原因の半分以上は適切な診断と治療で克服が可能な白内障をはじめとする前眼部の疾患です。顧みられない熱帯病の一つであるオンコセルカ症も、失明に至る前眼部疾患を引き起こすことで知られています。また、途上国の貧困地域では、先天性白内障や小児斜視などの予防できる眼科疾患により、多くの子供たちが視覚障害で苦しめられています。
OUI Inc.は、世界の失明人口の削減に貢献するため、Smart Eye Camera という、スマートフォンに取り付けることで、既存の細隙灯顕微鏡と同様に白内障をはじめとした眼科疾患を診断することができるデバイスを開発・展開している、慶應義塾大学医学部発のベンチャーです。スマートフォンのカメラと光源を利用した眼科診療機器は本邦初であり、既存機器と同等の性能を実現しています。いつでもどこでもポータブルで簡便な診察を可能とするSECによって、医療アクセスが困難な途上国の貧困地域に眼科医療を届けることで、世界の失明の予防・促進に対して大きく貢献できます。
OUI Inc.は、SECを通じて世界の失明を50%減らすことをビジョンに掲げ、日本国内だけではなく、ベトナム、モンゴル、ザンビア、マラウイ、ケニアの医療過疎地での事業展開に着手しています。
事業の目的
アジア(ベトナム・インド他)、アフリカ(特に東部アフリカ)を対象に、現地医療機関・NGO・国際機関・製薬会社等の多様なパートナーと協働して、SECによる眼科診察と医療サービスを提供します。同活動で得られたデータは、遠隔診療モデルの構築や疫学研究にも活かします。さらに、医師・医療スタッフへのトレーニングを通じて、医師・医療スタッフの眼科医療に対するキャパシティ向上も目指します。
事業の詳細
1. 医療過疎地100地点、10,000人の患者に対するSECによる眼科診察と医療サービスを提供する
現地医療機関・国際機関・NGO・製薬会社と協働し、SECによる眼科診療と治療薬提供・白内障手術等の医療ソリューションをバンドルし、これまで眼科医療にアクセスできなかった医療過疎地100地点10,000人の患者に対し、医療サービスを提供します。
2. 現地眼科医による医療過疎地域への遠隔診療モデルを構築する
対象地域においては眼科医の数が少ないうえに都市部に集中しており、一方で失明をはじめとする視覚障碍を持つ患者の多くは地方の農村部の貧困層が占めています。1. の活動を通じ、都市部から眼科医が農村部の患者を診察できる遠隔診療のモデルを構築し、農村部の視覚障碍者の眼科医療への持続可能なアクセスを実現します。
3. 対象地域の眼科疾患情報を収集し、疫学の研究論文を投稿する
SECを通じて撮影した眼科的画像は、スマートフォンのGPS機能によって、診察地点の位置情報と合わせて記録することが可能です。1.の活動を通じて得られた眼科的画像と位置情報により、これまでブラックボックス化していた、医療過疎地の眼科疾患の疫学的情報を明らかにし、その成果を研究論文として投稿します。どの地域にどのような疾患が多いのかを明らかにすることで、グローバルアイヘルス活動の、戦略的・効率的な支援活動の展開に寄与します。
4. 1,000人の現地医師・医療スタッフへのSECを活用した眼科診察トレーニングを実施する
眼科専門医の数が少ない新興国・途上国では、地方部の農村部で医療に従事する医師・医療スタッフの眼科医療に対するキャパシティ向上が重要な課題となっています。SECは、スマートフォンの画面に映し出される診察画像をリアルタイムで共有できることから、経験の浅い医師・医療スタッフに対する教育という面でも現地から大きな期待を寄せられています。現地の医療機関、援助機関と連携し、1,000名の現地医師・医療スタッフに対する眼科診察のトレーニングを行い、対象地域の眼科医療のクオリティを底上げします。
コミットメント達成までの計画(マイルストーン)や活動進捗をモニタリングするKPI
2021年1月から2021年12月までにパイロットプロジェクトを完了してベースラインを確定させ、活動のアウトプットとして下記のKPIで進捗をモニタリングする予定です。
・SECによって診察された患者数
・SECによる診断後、治療薬・白内障手術等の医療ソリューションを提供した患者数
・SECによるトレーニングを受講した医師・医療スタッフの数
・遠隔診療システムの構築
・研究論文の投稿
コミットメント達成に必要な条件
・外部資金の獲得:パイロットプロジェクト実施費用(500万円-1,000万円程度)及びその後のコミットメント達成のための事業費用(1億円程度)
・対象国におけるSECの現地医療機器承認
・SECそのものや、SECのデータを使用して作成された眼科診断AIおよび、疫学情報を使用して作成されたSECデータベースの医療機器化 (FDA/ CEなど)
参考文献、引用文献、関連リンク
<背景情報>・World Health Organizatoin (WHO), World Report on Vision
https://www.iapb.org/wp-content/uploads/world-vision-report-accessible1.pdf・International Agency for the Prevention of Blindness (IAPB) Vision Atlas
http://atlas.iapb.org/・Bourne RRA, et al. Lancet Glob Health. 2017
https://www.thelancet.com/action/showPdf?pii=S2214-109X%2817%2930293-0<SECのエビデンス(OUI Inc.による論文)>・Shimizu E, Ogawa Y, Yazu H, Aketa N,et al. "Smart Eye Camera": An innovative technique to evaluate tear film breakup time in the murine dry eye disease model. PLoS One. 2019 May 9;14(5):e0215130.
*SECの基礎研究に関わるエビデンス
・Yazu H, Shimizu E, Okuyama S, et al. Evaluation of Nuclear Cataract with Smartphone-Attachable Slit-Lamp Device. Diagnostics (Basel). 2020;10(8):E576. Published 2020 Aug 9.
*SECの臨床研究に関わるエビデンス(白内障診断精度)
・Shimizu E, Yazu H, Naohiko A, Yokoiwa R, Sato S, Katayama T, Hanyuda A, Sato Y, Ogawa Y, Tsubota K. Smart Eye Camera: A validation study for evaluating the tear film breakup time in dry eye disease patients. Ocul Surf. 2020. Under review.
*SECの臨床研究に関わるエビデンス(ドライアイ診断精度)
・Shimizu E, Yazu H, Naohiko A, Tanji M, Sakasegawa A, Nakayama S,et al. Cataract diagnostic artificial intelligence from video and machine-learning. NPJ Digit Med. 2020. Under review.
*SECの診断AIに関わるエビデンス(白内障診断AI)
企業情報、問い合わせ窓口
企業名: 株式会社OUI (OUI Inc.)
担当者: 海外戦略部 中山慎太郎
メールアドレス: p.shintaro “at” ouiinc.jp
(メールアドレスの“at”は@に置き換えてください)
編集:本文および写真は全てOUI社より提供