COMMITMENTS

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アース製薬

2020.10.29

感染症予防の為の安全で安価なソリューションを開発する

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アース製薬は、オープンイノベーションで開発するMA-T技術を応用し、感染症予防のための新たなソリューションを2030年までに開発します。日本のみならず、タイ、ベトナム、ミャンマーなどの低・中所得国2.2億人の人口を抱える東南アジア地域を対象に、ウイルス、微生物、多剤耐性菌等の感染拡大を抑制するため、国連や公的機関への調達事業を展開します。安価で簡便な施策を提供する事で、社会実装を目指します。

2020年10月
アース製薬株式会社

解決を目指す課題 感染症の予防対策・管理、感染症関連死の減少
製品、技術、サービス MA-T技術の応用による空間や環境平面の微生物量の減少を目的とする新規除菌・消毒剤
アプローチ 製品開発、安全性の実証検証、臨床研究、ガイドラインへの提言
対象国、地域 タイを中心に東南アジア諸国で感染症対策を国の課題とする低・中所得国
達成目標年 2030年
事業規模 非公開
パートナー 国内の大学、海外の大学病院、dotAqua社、エースネット社、日本の工業会・学会
SDGs該当ターゲット


3.1 2030年までに、世界の妊産婦の死亡率を出生10万人当たり70人未満に削減する。
3.2 全ての国が新生児死亡率を少なくとも出生1,000件中12件以下まで減らし、5歳以下死亡率を少なくとも出生1,000件中25件以下まで減らすことを目指し、 2030年までに、新生児及び5歳未満児の予防可能な死亡を根絶する。
3.3 2030年までに、エイズ、結核、マラリア及び顧みられない熱帯病といった伝染病を根絶するとともに肝炎、水系感染症及びその他の感染症に対処する。
3.9 2030年までに、有害化学物質、並びに大気、水質及び土壌の汚染による死亡及び疾病の件数を大幅に減少させる。



17.17 さまざまなパートナーシップの経験や資源戦略を基にした、効果的な公的、官民、市民社会のパートナーシップを奨励・推進する。



背景


従来充分な検証なしに実行されていた感染症予防対策のうち、COVID-19によるパンデミックを契機に有効性の検証が進展したものは、 
①マスクやフェイスシールドなどの着用
②手や体表の洗浄に代わる除菌剤の使用
③オフィスや店舗でのシールドの設置
④一般生活空間内の換気または除菌剤の噴霧
などがあげられます。ポストコロナの社会においては、これらの感染防止対策が世界各地で、それぞれの地域や個人の経済負担能力に応じて継続的に実施されることが望まれております。
私たちは、①から④の感染防御対策で併用される除菌剤、消毒剤の選択や使用法の適正化推進を通じて、世界的な感染リスクマネジメントの強化に貢献したいと考えております。


事業の目的


感染症がいまだに身近で臨床上のインパクトも大きな低・中所得国を含む発展途上国では、社会保障システムが脆弱であり、医療費、医療従事者の数が限定的なため、最新の医療技術や最新薬剤へのアクセスが困難な現状があります。このような現状では、安価で安全で簡便な感染対策、手指衛生や感染防御手技、環境消毒がより効果的に発展途上国でも実施される必要があります。このため、使用される消毒剤の選択や使用法の適正化の研究を推進し、発展途上国での感染症対策の充実を図ることは世界規模の課題として認識されております。これらの課題解決を通じ、国連や各国行政の感染症予防対策ガイドラインにポジティブなインパクトを与えることを目的とし取り組みを進めてまいります。


事業の詳細


<新規技術MA-Tの開発背景、効果>
エースネット社は、水溶液中で抗菌効果を示す二酸化塩素ラジカルが必要充分なレベルを保って生成され続けるよう反応制御する触媒技術の開発に成功し、高い安全性と有効性の両立する除菌剤としてMA-Tを2009年に製品化しました。2015年には大阪大学によってMA-Tの学術的な作用メカニズムが解明されました(注)。 アース製薬はこの様な学術団体と共同でMA-Tの効果的な産業応用研究を実施しており、東南アジア諸国の医療機関などにおける感染症管理体制強化にも貢献することを視野に入れて協働していきます。

<事業計画>
グローバルな感染症対策として、MA-Tを国連調達などにより社会実装すべく、次のような計画で事業を進める予定です。

Phase 1:
感染症予防に関する検証や事業推進を目的としたアカデミアや民間企業団体とアライアンス体制を構築します。例えば、工業会、関連学会の設立などが挙げられます。

Phase 2:
除菌剤のより効果的な使用に必要な科学的実証を推進します。
具体的には、
①防護具着脱時の除菌剤の有効性検証
②皮膚、粘膜に対する除菌剤の安全性検証
③ポリマー表面の抗菌処理の有効性検証
④除菌剤噴霧の有効性・安全性検証 
などです。

Phase 3:
Phase 2の科学的実証をもとに、製品の開発と製品供給体制の構築を進めます。具体策として、開発生産流通インフラをもつ企業との事業提携を検討します。

Phase 4:
東南アジアの行政当局や国連等の公的な会議体への提言活動を、Phase 1で関係を構築した工業会や学会と連携して実施し、行政の感染症対策のガイドライン作りや他のエリアの発展途上国を視野に入れた国連調達を実現していきます。

<パートナーとの連携方針>
MA-Tを通じた地球、社会、人々のウェルネスへの貢献という理念を共有する企業との連携の中で、主にヘルスケアと環境課題に関連する事業領域では共通のKPIを設定し、かつ協力して達成度評価を行います。具体的には環境・人権・労働・腐敗防止に対し配慮した事業を実践し、KPIに基づいた進捗モニタリング・評価を継続的に実施します。加えて、産官学の連携を組織化するために中心的な役割を担っていきます。

<薬剤耐性対策への貢献>
MA-Tはラジカル発生機構という、非薬理学的なメカニズムによる除菌・消毒剤であるため、医療用抗菌薬に対する補完的な使用が可能で、多剤耐性菌の発生リスクの抑制が期待されます。除菌・消毒薬の適切な使用に関する理解が、医薬品使用者、施設管理者、保健・医療関係者に浸透するよう教育活動を並行して実施します。


コミットメント達成までの計画(マイルストーン)や活動進捗をモニタリングするKPI


事業対象国、対象地域、対象施設内の以下の指数に注目します。
・新生児・乳幼児の肺炎や感染症による死亡率(U5MR)[%]
・産褥熱発生数、産褥熱による産婦死亡率(MMR)[%]
・マラリアの患者数、死亡率の変化[%]
・エイズ・結核・デング熱などの顧みられない熱帯病(NTDs)感染症関連の指数
上記数値のモニタリング、改善を目指し、各Phaseでは以下のKPIを設定します。
KPI数値詳細は決定次第、順次アップデートいたします。

Phase1に関わるKPI
団体・パートナー:工業会参画団体数[数]、感染症対策関連のパートナー団体・企業数[数]
情報開示:プレスリリース[本数]、ウェブサイトアクセス[回数]、報道機関への掲載[回数]

Phase2に関わるKPI
科学的実証:感染症対策に関する科学的実証に関連した論文数[本数]、学会発表数[回数]
環境:環境負荷モニタリングや評価の実績[件数]

Phase3に関わるKPI
医療行政:薬事承認[件数]、調達開発費[ドル]
製品の安定的供給:除菌・消毒剤としての年間生産量[ℓ]、生産の設備投資[ドル]、GMP生産品の売り上げ[ドル]

Phase4に関わるKPI
公的機関:国連での調達額[ドル]、調達国[数]、MA-Tが感染症予防対策として採用されたガイドライン[数]、ガイドブックの発行数[部数]
施設・病院:MA-Tを感染症対策として採用した施設[数]、ユーザーの適切な使用に関する理解度と行動の変化[%]、使用量の変化[ℓ]


コミットメント達成に必要な条件


・工業会や学術学会の設立、健全で継続的な運営をする事
・パートナーとしてコミットメント達成に協働してくれる仲間探しをする事
・共同研究への助成金など資金調達を可能とする中・長期的事業計画を立案する事
・公的機関へのアプローチには、行政認可、承認を取得する事
・日本や欧米の薬事承認、UNのPQ取得を取得する事


各パートナーとの役割分担

・日本の国立大学:感染対策の効果の科学的な実証、薬事承認に向けた協働
・アース製薬:前臨床研究 臨床研究に必要な薬剤サンプルの提供 薬事戦略立案
・製薬企業(未定):消毒薬の国内治験、国内販売、海外先進国での開発
・工業会:国連調達に向けた政府、国連向け提言


参考文献、引用文献、関連リンク

(注)国際特許公開番号 WO/2017/104798 A1


企業情報、問い合わせ窓口


企業名: アース製薬株式会社
担当者: グループ経営統括本部 事業開発部 田畑 彩生(たばた あや)、中田 裕久(なかだ ひろひさ)または広報部
メールアドレスおよび電話番号: tabata-aya "at" earth.jp nakada-hirohisa "at" earth.jp 03-5207-7788(平日のみ10:00-15:00)

(メールアドレスの"at"は@に置き換えてください)

編集:本文および写真は全てアース製薬社より提供