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SORA Technology

2022.04.20

ドローンを活用した保健医療・公衆衛生インフラを構築し、UHC実現に貢献する

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SORA Technology社は、アフリカやアジアでのユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)実現に貢献するため、ドローンとその運航管理システムに関する技術や知見を活用し、保健医療・公衆衛生インフラを構築・運用します。ドローンを中核とするインフラの整備により、安全・確実・タイムリーな物資輸送のみならず、ヘルスケア関連情報の管理を多拠点間で可能にし、これまでの障壁とされている、距離ゆえの医療アクセスの悪さや複数工程に伴う業務の非効率の問題を克服します。まずは、シエラレオネ・セネガル等の西アフリカ諸国を中心に同インフラの構築・運用を2022年から着手するとともに、2027年までにアフリカ・アジア20カ国に事業を展開させます。

2022年4月
SORA Technology株式会社


解決を目指す課題 地方部・僻地での医療アクセスの改善
製品、技術、サービス ドローン及びドローン運行管理システム
アプローチ 実証、製品普及
対象国、地域 シエラレオネ・セネガル等の西アフリカ諸国を中心に、将来的に他のアフリカ・アジア各国へ展開
達成目標年 2027年
事業規模 まずは実証事業を数千万円~1億円程度の規模で各国実施予定
パートナー Institut Pasteur
現地ドローン事業者
現地通信事業者
SDGs該当ターゲット


3.8 すべての人々に対する財政保障、質の高い基礎的なヘルスケア・サービスへのアクセス、および安全で効果的、かつ質が高く安価な必須医薬品とワクチンのアクセス提供を含む、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)を達成する。



9.1 質が高く信頼できる持続可能かつレジリエントな地域・越境インフラなどのインフラを開発し、すべての人々の安価なアクセスに重点を置いた経済発展と人間の福祉を支援する。
9.a アフリカ諸国、後発開発途上国、内陸開発途上国および小島嶼開発途上国への金融・テクノロジー・技術的支援の強化を通じて、開発途上国における持続可能かつレジリエントなインフラ開発を促進させる。



17.16 持続可能な開発のためのグローバル・パートナーシップのマルチステークホルダー・パートナーシップによる補完を促進し、それによるナレッジ、専門知識、技術、および資金源の動員・共有を通じて、すべての国々、特に開発途上国の持続可能な開発目標の達成を支援する。

 

背景


サブサハラアフリカ諸国では、結核やマラリア、エボラウイルス病(エボラ出血熱)、新型コロナウイルス感染症等に対して、地方や僻地に医療物資が常備されず、タイムリーかつ適切に緊急対応ができない国々が多くあります。また発熱を伴う症状が出たとしても、多くの場合、迅速で適切な検査・診断がなされていません。例えば、発熱の症状がある患者の検体は、陸路で都市部の検査ラボに輸送されていますが、輸送時間がかかることや悪路輸送になることから、ラボに到着した時点で検体の質が低下し適切な検査ができないこともあります。これらは、患者自身が適切な治療を受けられないのみならず、クラスター感染を引き起こすリスクもあります。

シエラレオネもその一つであり、乳幼児や妊産婦の死亡率が喫緊の課題である一方、そのために必要不可欠な医療サプライチェーンの構築も、2010年代半ばのエボラ出血熱の流行とそれに伴う財政難で大きく停滞しており、特に地方部では医療アクセスは良いとは言えない状況です。シエラレオネ政府は、UHC に対する国家戦略を策定し、UHC 達成のためには経済的アクセス及び社会的アクセスのみならず、物理的な医療アクセス(遠隔地での医療サービス提供など)の改善が必要であると指摘しています。保健衛生省のデジタルヘルス戦略National Digital Health Strategy 2018-2023(*1)においても、デジタル技術の活用とデータの統合的管理によって、適切かつ効率的な医療物資アクセスを目指すことが謳われています。

SORA Technology社は、ドローンやその運行管理(Unmanned Traffic Management;UTM)システム等に関する技術・知見を活用し、保健医療や緊急支援等の社会課題の解決に貢献することをミッションとして、2020年6月に設立した会社です。ドローンによる物資配送とUTMシステムを統合させることにより、プログラム化された離発着、目視外飛行、他の有人機・無人機との衝突回避等が可能になるとともに、医療物資の在庫管理の効率化やオンデマンド型の輸送も実現できることが期待されています。

SORA Technology社は、シエラレオネにおけるドローンの医療物資アクセスや人材育成を含めた現地のデジタル化に貢献すべく、2021年12月にシエラレオネ共和国・科学技術イノベーション局(Directorate of Science, Technology and Innovation;DSTI)やンジャラ大学とMoU「ESTABLISHMENT OF MEDICAL DRONE INFRASTRUCTURE IN SIERRA LEONE」(*2)を締結しました。また、未電化医療施設に電力アクセスやインターネット接続などの必須サービスを提供するイニシアチブHealthGrid(*3)とも協力するなど、複数の関係機関と協議を進めています。


事業の目的


シエラレオネにおいて、弊社のドローン及び管制システムに関する技術・知見を導入し、現地の公衆衛生・デジタル化に関する課題を解決します。安全・確実・タイムリーな医療物資の輸送により、検査検体の質の担保や迅速な診断・治療の実施に貢献することで、COVID-19や結核等の感染症拡大のリスク軽減にも繋げます。


事業の詳細


シエラレオネの中でも医療アクセスの課題が大きい南部での実証事業を最優先とし、ドローンの飛行試験を行った上で、ハード(ドローン、離発着装置)とソフト(オペレーション体制)の仕様を最適化します。公衆衛生・保健医療の観点では、実際に最適化したドローン輸送インフラの中で、医薬品やワクチン、検査検体等の医療物資の輸送を行い、効果測定を行います。これらと並行して、保健衛生省やDSTI、現地関係者、民間の協業候補先等と協議を行い、持続可能なビジネス計画を検討していきます。

将来的には、公衆衛生・保健医療インフラとして、ワクチン、母子手帳、小型医療機器等、様々な物資を輸送できる汎用的なインフラにしていくことを目指しています。さらに、医療物資の在庫管理システムとの統合や、ドローン搭載センサーで取得する情報(気象・地理情報等)をもとにした感染症拡大予測等に資するデータビジネスも検討していきます。

UAV Box

コミットメント達成までの計画(マイルストーン)や活動進捗をモニタリングするKPI


2022年から実証事業を開始し、2025年までにシエラレオネ国内でのビジネス拡大とともに、アフリカ、アジア等その他地域に事業モデルを横展開していく予定です。先進国においては、代替の輸送手段が発達していること、法規制が厳格であることから、発展途上国での活用を先行させ、先進国に逆輸入されるモデルとしてマイルストーンを描いています。


コミットメント達成に必要な条件


・多国展開に向けて、現地当局(保健省、航空局等)からの許認可の取得
・実証事業を実施するための外部資金の獲得(数千万円規模)


各パートナーとの役割分担


下記のようなパートナーとの連携を想定しています。
・Institut Pasteur: 保健・衛生・医療分野でのドローン活用インフラ構築に必要とされるノウハウの共有、アフリカ・アジアに有する研究所ネットワークとの連携(実証ならびに運用事業での提携)
・現地ドローン事業者: オペレーションサポート
・現地通信事業者: 通信ネットワーク供与、アフリカでのビジネス展開に関するアドバイス


参考文献、引用文献、関連リンク


1. National Digital Health Strategy 2018-2023, シエラレオネ保健衛生省
https://mohs2017.files.wordpress.com/2019/02/sl-national-digital-health-strategy-nov-2018.pdf

2. 「SORA Technology、シエラレオネ科学技術イノベーション局、ンジャラ大学とのドローンによる医療物資配送・管制システム等のインフラ構築に係るMOUに調印。事業化に向けて4月より本格始動。」
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000098395.html

3. HealthGrid Sierra Leone: A Public-Private Alliance to Provide Sustainable Electricity, Internet Connectivity, and Clean Water to Remote Off-Grid Health Facilities
https://www.csrwire.com/press_releases/733611-healthgrid-sierra-leone-public-private-alliance-provide-sustainable


企業情報、問い合わせ窓口


企業名: SORA Technology株式会社
担当者: 事業開発部 梅田
メールアドレス: masaki.umeda "at" sora-tech.com

(メールアドレスの“at”は@に置き換えてください)

編集:本文および写真は全てSORA Technology社より提供。コミットメントは2020年10月に公開後、2022年4月に内容更新。